巨匠と呼ばれるような人の演奏を久々に聴きました。
京都コンサートホールにてラドゥ・ルプーです。
CDでしか聴いたことがなかったので、非常に楽しみにしていました。
ステージには、一般的なピアノ椅子ではなく、背もたれ付きのパイプ椅子が用意されています。
ゆっくりステージに表れ、ゆっくり頭を下げ、ゆっくり座ります。
深く座って、背もたれにグッタリと、もたれかかった状態。
ここから、弾く姿勢に構えるのかと思いきや、
座った瞬間に弾き始めている。笑
もたれてるよ?笑
心のなかでツッコミを入れながらも、空間を支配する音は恐ろしく透明。
まるで空気が綺麗になったよう。
ヤナーチェクで小宇宙を展開した後、
ベートーヴェンの熱情。
ここでは、壮大な世界を広げず、ステージ上のルプー氏の1カ所から音が放たれる。
小ぢんまりしているとも取られ兼ねないが、わざとやっている。
(注:1曲目のヤナーチェクと比べての話。凡人の演奏と比べると壮大な宇宙が広がっていると思うかもしれません。)
メロディーと伴奏の音量差が少ないことも相まって、古楽奏法を思わせるが、まるっきりそうというわけでもない。
後半はシューベルトのソナタ。
これが真骨頂という感じ。
全体的に、メリハリがあるのに、聴衆に緊張を強いない。
張りつめた感じではない。
暖炉のある真冬の風景と言ったところでしょうか。
解説になっていないけれど、「何々の論点において何何だ」とか言うのもナンセンスでしょう。
とにかく、素晴らしかったわけですが、楽章間をすべてアタッカで弾くので、こちらはゴソゴソする時間もなく、お尻が痛くなります。
咳もできません。
せっかくの余韻を満員電車で壊したくないので、北山から四条烏丸まで歩きました。
40分を見込んでいたのですが、1時間。
終電の時間です。
晩ご飯食べる時間はありません。(帰って食べましたけどね。)